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2023-01-25 12:01:31        

      

来源:   哔哩哔哩

《铃芽之旅》第一章第四节小说中日双语翻译

さあ始まるよと、皆がささやく

大家都在窃窃私语,要开始了哟

フェリーのエントランスを抜けると、そこは自動販売機の並ぶロビーだった。長距離トラックのおじさんたちが慣れた様子で丸テーブルに腰掛け、さっそくビールなんかを開けている。


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当我穿过渡轮入口后,来到了一个排列了很多自动贩卖机的大厅。开长途卡车的大叔们熟练的坐在了圆桌前,打开了像是啤酒什么的东西。

「さっきの見たと?」「見た見た!なんじゃったっちゃろね?」猫じゃね―とや?」「いやなんか、椅子のごとあるもんが走っちょってよ」「オモチャやろ」「ドロ―ンのごとある。良く出来とったわあ」

“刚刚那个你们看到了吗” “看到了,看到了,那个到底是啥啊” “不是猫吗” “不是啊,是有个像椅子一样的东西在跑。” “玩具吧” “像无人机一样,做的还挺好。”

ひえ―、噂になっている!私は部屋の隅々に目を走らせながら、草太さんたちの姿を探してロビーを小走りに通過する。汗だくの制服を訝しげに見るおじさんたちの視線をひしひしと感じて、なおさらに汗が噴き出す。道なりに階段を昇り、まばらに乗客の座った客室を抜け、もう一度階段を昇ると、そこは海に面したフェリーの外廊下だった。

嘿!我还成传闻了!我一边盯着房间的各个角落,一边小跑着在大厅里寻找草太他们的身影,我敏锐地感觉到大叔们正用疑惑的目光盯着满头大汗穿着制服的我,我的汗流的更多了。沿着道路我登上了楼梯,穿过稀稀拉拉坐着几名乘客的客房,再一次登上了楼梯,那里是面向大海的渡轮外走廊。

「どこ行ったのよ、まったく!」

思わず叫ぶ。腹が立つ。まるで自分のペットが人様に迷惑をかけていて、しかもそのペットは理不尽に押しつけられたものだというような気分に、私はなっている。細かい廊下を駆け抜けると、そこは広々とした吹きさらしの後部デッキだった。

“到底去哪了啊,真是的”

我不禁喊了起来,有些生气了。就好像我的宠物给别人添了麻烦,而且这个宠物还是不讲理的强行塞给我的那种感觉。穿过了窄小的走廊,这里是宽敞的露天后台甲板。

「——ああっ!」

いた!デッキの真ん中で強い潮風を受けながら、仔猫と子供椅子が二メートルの距離を狭んで睨み合っている。現実なのか子供じみた悪夢なのか、私はふいに目眩を覚える。

「なぜ逃げる!?」

草太さんが怒鳴り、詰め寄った。その距離分、白猫は後ずさる。

「俺の体に何をした!?お前はなんだ!?」

無言のままじりじりと、白猫は後退していく。でも後ろは柵、その下は海だ。

「答えろっ!」

“——啊啊!”

找到了!在甲板中央,伴随着强烈的海风,小猫和儿童座椅在我两米远的地方互相瞪眼。这是现实吗,还是一个幼稚的噩梦,我感到头晕目眩起来。

“为什么跑了!”

草太先生怒吼着向白猫逼近,这样的距离下,白猫向后退去。

“你对我做了什么!你是什么!”

白猫默默地,慢慢地向后退去,但它的后面是围栏,下面就是大海。

“回答我!”

椅子がぐっと脚を折り、勢いをつけて白猫に飛びかかった。猫はひらりとすり抜け、フェリーの最後部に立っている細長いレーダーマストを掛け上っていく。

「ああっ」

逃げられた!私は草太さんに駆け寄り、並んでマストを見上げる。十五メートルほどの高さのマストのてっぺんに、白猫はちょこんと座っている。

「すーずめ」

え。私を見ている。黄色い丸い目が、わくわくと輝いている。

「またねっ」

幼い声が跳ねるように言い、白猫はマストから海へと飛び降りた。私はひっと息を呑む。と、その体は、後ろから高速でやってきた警備艇にすとんと落ちる。

椅子一下子折起了腿,猛地向白猫扑去。小猫轻敏的躲了过去,跳上了渡轮后面的细长雷达船桅。

“啊!”

要跑掉了!我向草太先生跑去,在他旁边抬头看向了桅杆,白猫在十五米高的桅杆顶端端坐着。

“铃——芽”

欸,它在看我,它那又黄又圆的瞳孔里,正炯炯有神的发着光。

“回头见 ~ ”

年幼的声音蹦蹦跳跳地说完后,白猫从桅杆上跳进了海里。我猛地吸上来一口气,然后看到那个家伙落到了从后面高速驶来的警备艇上。

「えええ―っ!」

警備艇はあっという間に私たちのフェリーを追い越していく。為す術もなく、私たちは呆然とその後ろ姿を見送った。

しばらくしてから後ろを振り返ると、私の町の海岸線はもうずいぶんと遠かった。港からへその緒みたいにフェリーの航跡が長く伸びていて、それは沈みかけの夕日を浴びてきらきらと光りながら途切れていった。

“欸,欸,欸——!”

警备艇很快就超过了我们的渡轮,无计可施了,我们只能茫然的目送它离开。

没过一会儿,我回头看去,我的小镇海岸线已经离我越来越远了。渡轮的痕迹像脐带线一样长长地延伸着,它沐浴在夕阳下,伴随着海面上闪耀的光点断掉了。

「——だからあ、今日は絢んちに泊まるから。……うーん、だからごめんってば、とにかく明日はちゃんと帰るから、心配しないで!」

薄暗い化粧室の端っこで、私はスマホを耳に押しつけている。足元から絶え間なく響いているエンジン音が環さんに聞こえないようにと、スマホごと口元を手のひらで覆っている。

『ちょっと、ちょっと待たんね、鈴芽!』環さんの泣き出しそうな表情が、声だけでありありと目に浮かぶ。

“­——所以我今天要住在绚家里。……嗯,所以对不起了嘛,总之我明天就回来了,别担心了。”

在光线昏暗的化妆室旁边,我把手机贴在耳朵上。为了不让环阿姨听到我脚下不断响起的引擎声,我甚至用手掌捂住了嘴和手机。

“等会,等会,别挂,铃芽!”光是听声音我的眼前就已经浮现出了环阿姨那快要哭出来的表情。

『泊まるのはいいっちゃけど、あんだ、部屋に救急箱は何に使ったと?怪我したっちゃねいやろね?』

「大丈夫だって。なんともなかったでしょ、すれ違ったとき」

『それにあんた、煮干しなんてそんげ好きじゃないよね?なんで出したと?』

“住是没问题的,但是你房间里的急救箱用来干嘛了?你不会是受伤了吧”

“我没事呀。我们擦肩而过的时候不是没事吗”

“而且你啊不是不喜欢鱼干的吗?怎么拿出来了?”

細かい人なのだ。喋りながら壁一面の写真を見つめている環さんの姿が、私には見える。学芸会、運動会、二度の卒業式、三度の入学式。環さんは必ず満面の笑みで記念写真を撮り、隣に写る私の笑顔はいつでもすこし淡い。そんな写真が、我が家にはあちこちに飾ってある。

环阿姨是一个非常细致的人,我都能想象到环阿姨一边说着话一边盯着墙上照片的样子。学术会,运动会,两次毕业典礼,三次入学典礼,环阿姨总是会满脸笑容的拍纪念照,而在她旁边我的笑容反倒是淡淡的。我家到处都装饰着这样的照片。

『私、こんなこと考えたくないけど』

返答に窮している私の沈黙を、環さんが埋める。

『あんた、ひょっとして変な男とつきあっちょっちゃ——』

「違うっ、健全っ、大丈夫っ!」

思わず叫んで、問髪を容れずに通話を切ってしまう。どはあ、と溜息が盛大に口から落ちる。ああ、こんなんじゃなおさらに心配させてしまう。あの人の過保護っぷりを加速させてしまう。——でも面倒は明日の自分に押しつけることにして、私は化粧室を出た。

“我不太想提这事儿。”

在我难以回答而沉默的时候,环阿姨继续问道。

“你不会是在和什么奇怪的男的交往吧”

“没有,我很好,没事的!”

我不禁喊出了声,不再接受任何提问的挂掉了电话。我长叹了一口气,啊啊,这样她要更担心了,会更加速她的过度保护的。——但我已经决定了明天再去想这些麻烦事,我走出了化妆室。

夜のフェリーに乗るのは、考えてみれば初めてだった。海はどこまでも黒く、昼間よりもなおさらに深い。こんなにも激しくうなる膨大な塊が足元にあることが、油断するとたまらなく怖くなる。私は想像力をシャットダウンしつつ階段を昇り、外廊下に出た。風に髪が暴れる。廊下の端っこ、展望デッキに繋がる外階段の下に、草太さんは無言でたたずんでいた。子供椅子の姿で、月明かりに淡く照らされて。というか、あの椅子が本当に草太さんなのだろうか。私は何度目かの不安に襲われ、でもだとしたら草太さんはもっとずっと不安なはずで、だったらせめて私は明るく振る舞おうと、あらためて心を決めた。

想了想这还是我第一次在晚上坐渡轮。大海深不见底,看起来比白天更深邃了。这样一团在我脚下剧烈低吼的庞然大物,让我光是想想就害怕的不能自已起来。我赶紧停止了思考,登上了楼梯,走到了外面的走廊。我的头发被风吹乱了,在走廊的尽头,通往观景台的楼梯下面,草太先生还在默默的站着。用着儿童座椅的姿态被月光微弱的照射着。话说回来,那把椅子真的是草太先生吗,我都已经被不安攻击好几次了,那草太先生只会更加不安吧,我再次下定了决心,至少我要表现的积极起来才行。

「草太さん!この船、愛媛に朝到着するんですって!」

船員に聞いたことを伝えながら、私は小走りで草太さんに駆け寄った。

「猫の飛び乗った船も、同じ港だろって」

「そうか……」

草太さんの声と同時に、椅子がカタンと動いてこちらを向く。反射的に身を引きそうになるのをぐっとこらえ、私は明るい声を出す。

「私、パン買ってきました!」

“草太先生!这艘船早上说是要到爱媛!”

我一边报告着从船员那里听来的事情,一边小跑着跑向草太。

“小猫跳到的那艘船也是要到同一个港口。”

“这样啊……”

草太先生的声音响起的同时,椅子也咔哒咔哒地朝我这边移动起来。我强忍住想要抽身躲开的冲动,发出了一个响亮的声音。

“我买来了面包!”

両手に抱えた菓子パンを草太さんの隣に置き、私もその横に座り込む。ロビーの自販機で買った焼きそばパンと牛乳サンド、紙パックのコーヒー牛乳とイチゴオレ。

「ありがとう」すこしだけ笑ったような声色に、私はホッとする。「でも、腹は減ってないんだ」

「そう……」

把手上抱着的夹馅面包放到了草太先生的旁边后,我也坐到了旁边。有从大厅的自动售货机买的炒面面包,牛奶三明治,纸袋咖啡拿铁和草莓奶茶。

“谢谢。”听出他的语气中还带有一丝笑意后,我稍微松了口气。“但我现在不太饿。”

“这样……”

そうだよね。椅子の体で食事なんで摂りようがない。自販機の前でも、買おうかどうかずいぶん迷ったのだ。お腹が鳴らないように、鳴ってしまっても彼に聞こえないように、私は膝を強く抱えてぎゅっとお腹に押しつける。朝ごはん以来、私は何も食べていないのだ。菓子パンを間に狭んで座ったまま、私たちはゆっくりと流れる星空をしばらく眺めく。すこしだけ欠けた月が、雲の峰を明るく照らしている。夜の鉄廊下はひんやりとしている。

也是,以椅子形态的话可没法吃饭。在自动售货机前我也犹豫过到底买不买了。为了不让肚子叫,也为了就算叫也不让他听见,我用力抱着双膝让它们压在肚子上。自早饭以来,我就什么也没吃了。我把点心面包放在了我们中间,然后悠闲的遥望着正在缓缓流动的星空,有一些残缺的月亮照亮了整个云峰,夜晚的走廊凉飕飕的。

「あの……」でもずっと、黙っているわけにはいかない。私は思いきって尋ねる。

「その体って」

「……俺は、あの猫に呪われたらしい」自嘲するように草太さんは小さく笑う。

「呪いって……。大丈夫ですか?痛かったりとか、しないんですか?」

「大丈夫だよ」と笑う草太さんに、私は思わず手を触れた。

「あったかい……」

“那个……”但是总不能一直沉默下去,我下定决心问了出来。

“你的身体……”

“……我好像被那只猫诅咒了”草太先生就好像自嘲一样轻笑了一声。

“诅咒……你没事吧,会不会痛之类的?”

“没事的。”草太先生笑着说道,我忍不住伸手摸了过去。

“好温暖……”

椅子は、人の体温を持っていた。魂という言葉がふと浮かぶ。そういうものがあるとしたら、それはきっとこういう温度だ。椅子の瞳——背板に彫られた二つの凹みには、うっすらと月の光が映っていた。

「でも、なんとかしないとな」

月を見ながら、草太さんが小さく呟く。私は意を決し、

「あの、私、気になってることがあって——」と口に出した。

「廃墟の石像……」

椅子拥有着人类的体温,瞬间,我的脑海中浮现出了灵魂一词。如果这种东西真的存在的话,那一定是这样的温度吧。椅子的瞳孔中——靠背雕刻的那两个凹痕中,隐约可见月光。

“但总得做点什么啊”

一边看着月亮,草太先生一边小声嘟囔着。我决定了,

“那个,我有个比较在意的事情——”我说出了口。

“废墟的石像……”

私の話をひとしきり聴き終えた後に、ふいに大きな声になって彼が言った。

「それが要石だ!君が抜いたのか⁉」

「え、抜いたっていうか……」

手に取ってみただけ。そう伝えようとするが、草太さんは自問するように言葉を重ねる。

听完我说的话后,他突然大喊道。

“那就是要石!是你拔了它吗!?”

“额,说是拔了……”

虽然我很想狡辩只是在手里看看而已,但是草太先生就好像在自问自答一样重复着说些什么。

「そうか、でもあの猫が要石か!役目を投げ出して逃げ出すとは……」

「え、どういうこと?」

「君が要石を自由にして、俺はそいつに呪われたんだ!」

「えっ、嘘——」私は戸惑う。でも奇妙に納得してしまう。要石に彫られていた顔は、狐ではなく猫。石が手の中で獣に変わった、あの触感。

“这样啊,但是那只猫就是要石!没想到它会扔下自己的使命逃走……”

“欸,什么意思?”

“你把要石给解放了,我却被它给诅咒了!”

“啊,不是吧——”我有些糊涂了,但却奇怪的能接受这个答案。要石上雕刻着的脸不是狐狸而是猫,石头在手里变成了动物,有着那种触感。

「ごめんなさい、私、そんなこと知らなくて——え、どうしよう……」

私は見ていた椅子の瞳が、ふいに床へと落ちる。草太さんが小さく息を吐く。

「……いや、悪いのは扉を見つけるのが遅れた俺だ。君のせいじゃない」

「鈴芽さん、俺は閉じ師だ」

「……とじし?」

“对不起,我不知会这样——,哎,怎么办啊……”

椅子看了看我,又看向了地板。草太先生微微叹了口气。

“……没事,错的是我没有及时找到门,不是你的错。”

“铃芽小姐,我是闭门师”

“……闭门师?”

ギギと音を立てて、草太さんは体ごと私に向ける。カタっと前脚を跳ね上げ、ふらふらと二本脚で立ち、背板から下げた鍵を前脚で掲げて見せる。私が部屋から持ってきた、装飾の施された古い鍵だ。猫が逃げた後に、私は草太さんの首にかけたのだ。

「災いが出してこないように、開いてしまった扉に鍵をかける」

カタン。前脚を床に戻し、草太さんは続ける。

「人がなくなってしまった場所には、後ろ戸と呼ばれる扉が開くことがある。そういう扉からは、善くないものが出てくる。だから鍵を閉め、その土地を本来の持ち主である産土に返すんだ。そのために、俺は日本中を旅している。これは、元々俺たち閉じ師の仕事なんだ」

「——」

吱呀吱呀的声音发了出来,草太先生把身体转向了我。咔哒一声他的前脚抬了抬,摇摇晃晃的用两只脚站了起来,然后用前脚举起了垂在靠背上的钥匙。是那把我从房间里拿出来的装饰古老的钥匙。在小猫逃走后,我挂在草太先生脖子上的。

“为了不让灾祸降临,要把打开的门用钥匙锁上。”

咔哒,草太先生把前脚放回了地板,继续说道。

“在一些荒无人烟的地方,一种被称为后门的门会被打开。在这样的门里,会出现一些不好的东西。这就是为什么我要锁上它们,并把土地归还原主,也就是土地的产土神。为此,我要在全日本旅行,这本就是我们闭门师的工作。”

“——”

うしろど。とじし。うぶすな。全然知らない言葉なのに、どこかで聞いたことがあるような気がする。意味が分からないけど、頭のずっと奥の方ではちゃんと理解できているような気がする。どうして——と考えようとしたところで、

「鈴芽さん、お腹すいてるだろう?」

とても優し声で草太さんが言った。食べて、と前脚で菓子パンを私の膝までそっと押す。

「うん……」

后门,闭门师,产土。明明是完全不了解的词语,却又有种在哪听过的感觉。虽然不知道具体什么意思,但在脑海深处却又感觉能够理解。为什么——我正想着的时候。

“铃芽小姐,肚子饿了吧?”

草太先生用非常温柔的语气说道。吃吧,然后用前脚把点心面包向我膝盖推去。

“嗯……”

私は牛乳サンドを手に取り、両手でビニールの包装を開いた。甘い匂いがふわりと立ち昇り、すぐに潮風に流されていく。

「猫を要石に戻し、ミミズを封じる。そうすれば、俺もきっと元の姿に戻れる」

こんなにも優し声なのは、私を安心させようとしてくれているのかも。

「だから、なにも心配しなくていい。君は明日、家に帰って」

パン生地とミルククリームのとろりとした甘みが、草太さんの柔らかな声と一緒にじわりと体に染み渡っていく。見慣れた黄色い子供椅子から発せられるその声に、私はもう違和感を感じなくなっていた。

我拿起了牛奶三明治,双手撕开塑料包装。香甜的气味缓缓飘了上来,但很快就被海风吹走了。

“让小猫回到要石里,然后封印MIMIZU,这样的话,我一定能回到原来的样子。”

他用这么温柔的语气和我说话应该也是为了让我放心吧。

“所以你不要再担心了,明天就回家去。”

面包的柔软和牛奶奶油浓稠的甜味,配合着草太先生温柔的声音一起慢慢渗透到了身体里。对这个会发出声音的黄色儿童座椅习惯后,我已经不会再感到奇怪了。

私は迷子になった子供だった。歩いているこの場所は、しかしあの星空の草原ではない。たぶん、そのもっと手前。いつものあの夢には長いストーリーがあって、日によって冒頭部分だったり、中盤を眺めていたり、クライマックスを体験したりするのだ。今日の夢は、物語の最初の部分だと思う。

那天晚上,我做了一个梦。

在那里我是一个迷路的孩子,然后我行走的那个地方不是有着星空的那片草原。大概,这发生在那之前。这个梦以往都是一个很长的故事,在不同的日子里,有的是开头部分,有的是中间部分,还有可以体验故事高潮的部分。我认为今天的梦就是那故事开头的部分。

時間は夜。冬の深夜。家からまだそう離れてはいないだけれど、奇妙なことに見知った建物たちは消えていて、自分がどこを歩いているのかよく分からない。がらんとした通りには誰もいない。地面はぬかるんでいて、歩くたびに、冷たい泥が靴を重くしていく。悲しいとか寂しさとか不安とかはもう私の一部になっていて、たっぷりと溜まったそれらの感情が、歩くたびに小さな体の中でたぷたぷと揺れている。寒い。雪が舞っていて、空も地上も暗い灰色に塗り込められている。その灰色を小さく切り抜いたように、淡い黄色の満月が浮かんでいる。その下には電波塔のシルエットが見える。このあたりでは一番高い建物で、見覚えのあるものはそれだけだ。

是个夜晚,冬天的深夜。虽然还没有离开家,但奇怪的是我所熟悉的建筑全消失了,我不知道该往哪里走,空空荡荡的街道上没有一个人。地面泥泞不堪,每走一步,冰冷的淤泥都会让我的鞋子变得更加沉重。悲伤,寂寞,不安已经成为我的一部分,我所积累的这些大量的情感现在正随着我的步伐反复动摇着我的内心。好冷。雪花在天空中飘舞着,无论是天空还是地面都被深灰色所覆盖了,就好像把这灰色切出一小块一样,淡黄色的满月浮现在天空上。在这下面可以看见电波塔的轮廓,它是这一带最高的建筑了,也是我唯一有印象的建筑。

「おかあさん、どこ―っ?」

その叫びながら歩く私の目の前、やがて扉が現れる。雪に埋まれた瓦礫の中で、その扉だけがまっすぐに立っている。みぞれ混じりの雪に濡れ、化粧板が月明かりをぼんやりと映している。

吸い寄せられるように、私の手はそのノブに伸びていく。摑む。金属製のそれは、肌に吸い付くように冷たい。ノブを回し、ドアを押す。きい、と軋みながらドアを開いていく。その中にある風景に、子供の私は驚く——と同時に、当たり前に知っている場所だとも思う。初めての場所なのに懐かしく思っている。拒まれているのに呼ばれていると感じている。悲しいのに昂っていく。

扉の中へ——眩い星空の草原の中へと、私は足を踏み入れる。

“妈妈,你在哪——?”

在我一边喊一边行走的时候,我的眼前出现了一道门。在被雪掩盖的废墟中,只有那扇门笔直的挺立着,上面满是被雨和雪浸湿的痕迹,木板上隐隐约约反射着月光。

就好像被吸引了过去一样,我把手伸向了门把手,抓住了它。这个金属制的门把手就好像要把我的皮肤吸到上面一样冰冷。我转动着门把手,推开了门。吱呀,门嘎吱作响着打开了。这里面的风景在让作为小孩的我感到惊讶的同时,也觉得这是一个我一直知道的地方。明明是一个第一次遇到的地方,却又感到无比怀念。明明感觉被它拒绝了,但又感觉被它呼唤了。明明很悲伤,情绪却又很高昂。

我向着门那里——那令人晕眩的星空中的草原里,走了进去。

ガタッ。何かが倒れる音に、目を覚えました。

「……草太さん?」

椅子がひっくり返り、三本脚を上に向けた格好で倒れている。

「すっごい寝相……」

寝相だよね、これ?私は自分の上半身を起こす。手すりの向こうで、みかん色に染まった海がきらきらと光っている。ウミネコの群れが、集団登校の小学生みたいにかしましく空を舞っている。ぶどう色に澄んだ空と、透明で清潔な太陽。日の出だ。私たちは外廊下のすみっこで眠っていだのだ。

「草太さん」

咔哒。是什么倒了的声音,我醒了过来。

“草太先生?”、

只见椅子翻了个个儿,以三条腿朝上的姿势倒下了。

“好牛的睡相……”

这是睡相吧?我坐了起来。栏杆外,染上橘红色的大海正在闪闪发光。一群海鸥就好像一起上学的小学生一样在天空中翱翔。淡紫色清澈的天空和透明纯净的太阳,日出了。我们是在外面走廊的角落里睡觉的。

“草太先生。”

椅子に手を当てて、揺らしてみる。返事がない。でも、やっぽりあたたかな体温がある。眠っているのだ。私はちょっと安心して、立ち上がる。手すりから身を乗り出し、進行方向を見てみる。いつのまにかフェリーの周囲には大小いくつもの島がある。何隻もの船がいる。宇和海——賑やかな豊後水道に私たちはいるのだ。銀紙みたいに輝く海のずっと向こうに、何本ものクレーンの立つ港が見えている。潮の匂いに、重油や植物や魚や人間の生活の匂いなんかが、ふっくらと混じっている。突然に体を圧すような音量で、ボーッと汽笛が鳴る。さあ始まるよと、周囲のなにもかもがうきうきと言っているような気が、ふいにする。何が始まるのか、旅なのか人生なのか単なる新しい一日なのか分からないけれど、とにかくこれから始まるよと、音が、匂いが、光が、体温が、そわそわとささやいている。

「……どきどきする」

朝日に縁取られた景色を見つめながら、私は思わず口に出した。

我把手放在了椅子上摇了摇,没有回应,但果然有着温暖的体温,它还在睡觉中。我稍微放心了些,站了起来,从栏杆上探出了身子,看着渡轮前进的方向。不知从什么时候开始,渡轮周围有着大大小小的几个岛屿,还有几艘船。我们在宇和海,是一个热闹的西海道航道。那如银箔一样闪耀的大海对面,可以看到几座吊车立在港口上。海水的味道,重油,植物,鱼,人们生活的气味都在空气中交织在了一起。突然,传来了一阵轰隆隆的汽笛声,响亮得压得人喘不过气来。恍惚间,我感到周围的所有东西都在兴奋的说“要开始了!”虽然我不知道要开始什么了,是旅行,是人生,还是只是新的一天要开始了,但总之从现在开始,声音,味道,光和体温都在对我窃窃私语着。

“……好令人激动啊!”

我注视着那被朝阳镀了一层金边一样的景色,不由自主的说道。

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